内藤まろの書き写したい日本語

‘近現代文学’

斎藤茂吉

2013-07-19 内藤まろ

けふもまた雨かとひとりごちながら三州味噌をあぶりて食むも

けふもまたあめかとひとりごちながらさんしうみそをあぶりてはむも

 

雨ひと夜さむき朝けを目の下の死なねばならぬ鳥見て立てり

あめひとよさむきあさけをめのもとのしなねばならぬとりみてたてり

 

猫の舌のうすらに紅き手ざはりのこの悲しさを知りそめにけり

ねこのしたのうすらにあかきてざはりのこのかなしさをしりそめにけり

 

ほのかなる茗荷の花を目守るときわが思ふ子ははるかなるかも

ほのかなるめうがのはなをまもるときわがおもふこははるかなるかも

 

昭和四年発行 改造社現代短歌全集より

石川啄木

2013-07-17 内藤まろ

ふるさとの訛りなつかし停車場の人ごみの中にそを聴きに行く

ふるさとのなまりなつかしていしゃばのひとごみのなかにそをききにゆく

 

たはむれに母を背負いてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず

たはむれにははをせおいてそのあまりかろきになきてさんほあゆまず

 

東海の小島の磯の白砂にわれ泣き濡れて蟹とたはむる

とうかいのこじまのいそのしらすなにわれなきぬれてかにとたはむる

 

働けど働けどなおわが生活楽にならざりぢつと手をみる

はたらけどはたらけどなおわがくらしらくにならざりじつとてをみる

 

 

 

正岡子規

2013-07-15 内藤まろ

柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺

かきくへばかねがなるなりほうりゅうじ

 

赤とんぼ筑波に雲もなかりけり

あかとんぼつくばにくももなかりけり

 

をとゝひのへちまの水も取らざりき

をととひのへちまのみづもとらざりき

 

いくたびも雪の深さを尋ねけり

いくたびもゆきのふかさをたずねけり

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