学問は尻からぬけるほたる哉
がくもんはしりからぬけるほたるかな
斧入れて香に驚くや冬木立
おのいれてかにおどろくやふゆこだち
目に嬉し恋君の扇真白なる
めにうれしこいぎみのおうぎましろなる
路たえて香にせまり咲いばらかな
みちたえてかにせまりさくいばらかな
岩倉の狂女恋せよほとゝぎす
いわくらのきょうじょこいせよほととぎす
月更けて猫も杓子も踊りかな
つきふけてねこもしゃくしもをどりかな
菜の花や月ハ東に日ハ西に
なのはなやつきはひがしにひはにしに
夏川を越すうれしさよ手に草履
なつかわをこすうれしさよてにぞうり
五月雨や大河を前に家二軒
さみだれやたいがをまえにいえにけん
春の水山なき国を流れけり
はるのみずやまなきくにをながれけり
荒海や佐渡によこたふ天河
あらうみやさどによこたふあまのがわ
一家に遊女も寝たり萩と月
ひとつやにゆうじょもねたりはぎとつき
おんひらひら蝶も金ぴら参り哉
おんひらひらちょうもこんぴらまいりかな
是がまあつひの住処か雪五尺
これがまあつひのすみかかゆきごしゃく
目出たさもちう位也おらが春
めでたさもちうくらいなりおらがはる
しづかさや湖水の底の雲のみね
しづかさやこすいのそこのくものみね
古利根や鴨のなく夜の酒の味
ふるとねやかものなくよのさけのあじ
雲雀あがる大野の茅原夏来れば涼む木陰をたづねてぞ行く
ひばりあがるおおののちはらなつくればすずむこかげをたづねてぞいく
夏の夜は篠の小竹の節近みそよやほどなく明くるなりけり
なつのよはしののこたけのふしちかみそよやほどなくあくるなりけり
夏の夜の月見ることやなかるらん蚊遣火たつる賤の伏屋は
なつのよのつきみることやなかるらんかやりびたつるしずのふせやは
露の散る蘆の若葉に月さえて秋をあらそふ難波江の浦
つゆのちるあしのわかばにつきさえてあきをあらそふなにはえのうら
掬ぶ手に涼しき影を慕ふかな清水に宿る夏の夜の月
むすぶてにすずしきかげをしたふかなしみずにやどるなつのよのつき
目に嬉し恋君の扇真白なる
めにうれしこいぎみのおうぎましろなる
夏川を越すうれしさよ手に草履
なつかわをこすうれしさよてにぞうり
動く葉もなくておそろし夏木立
うごくはもなくておそろしなつこだち
五月雨や大河を前に家二軒
さみだれやたいがをまえにいえにけん