内藤まろの書き写したい日本語

‘上代・中古文学’

在原業平

2013-08-15 内藤まろ

秋萩をいろどる風はふきぬともこゝろはかれじ草葉ならねば

あきはぎをいろどるかぜはふきぬともこころはかれじくさばならねば

 

ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれないに水くゝるとは

ちはやぶるかみよもきかずたつたがわからくれないにみずくくるとは

 

見ずもあらず見もせぬ人の恋しくばあやなく今日やながめくらさむ

みずもあらずみもせぬひとのこひしくばあやなくけふやながめくらさむ

 

起きもせず寝もせで夜をあかしては春のものとて眺めくらしつ

おもきもせずねもせでよるをあかしてははるのものとてながめくらしつ

小野小町

2013-08-03 内藤まろ

花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに

はなのいろはうつりにけりないたづらにわがみよにふるながめせしまに

 

今はとてわが身時雨にふりぬれば言の葉さへにうつろひにけり

いまはとてわがみしぐれにふりぬればことのはさえにうつろひにけり

 

色見えでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける

いろみえでうつろふものはよのなかのひとのこころのはなにぞありける

雄略天皇

2013-07-24 内藤まろ

籠もよ み籠もち ふ串もよ みふ串もち

この岳に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね

そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居れ

しきなべて われこそ座せ われこそは 告らめ

家をも名をも

 

こもよ みこもよ ふくしもよ みふくしもち

このおかに なつますこ いえきかな なのらさね

そらみつ やまとのくには おしなべて われこそをれ

しきなべて われこそませ われこそは のらめ

いえをもなをも

山上憶良

2013-07-21 内藤まろ

牽星(ひこほし)は 織女(たなばたつめ)と

天地(あめつち)の  別れし時ゆ いなむしろ

川に向き立ち 思ふそら   安らかなくに 嘆くそら

安らかなくに 青波に   望みは絶えぬ 白雲に

涙は尽きぬ かくのみや 息づき居らむ かくのみや

恋ひつつあらむ さ丹(に)塗りの

小舟(をぶね)かもがも    玉巻きの 真櫂(まかい)もがも 朝凪に

い掻き渡り 夕潮に   い漕ぎ渡り 久方の

天の川原に 天飛ぶや 領巾(ひれ)片敷き

真玉手(またまで)の 玉手さし交へ あまたたび

いも寝てしかも 秋にあらずとも

 

反歌

風雲(かぜくも)は二つの岸に通へども吾が遠妻の言(こと)ぞ通はぬ

磔(たぶて)にも投げ越しつべき天の川隔てればかもあまたすべなき

山上憶良

2013-07-15 内藤まろ

春さればまづ咲く屋戸の梅の花独り見つつや春日暮らさむ

はるさればまづさくやどのうめのはなひとりみつつやはるひくらさむ

 

袖振らば見も交しつつ近けども渡るすべなし秋にしあらねば

そでふらばみもかはしつつちかけどもわたるすべなしあきにしあれば

 

秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花

あきののにさきたるはなをおよびおりかきかずふればななくさのはな

 

荻の花尾花葛花撫子の花女郎花また藤袴朝顔の花

はぎのはなをばなくずばななでしこのはなをみなえしまたふじばかまあさがおのはな

 

世の中を憂しと恥しと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば

よのなかをうしとやさしとおもへどもとびたちかねつとりにしあらねば

 

憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も吾を待つらむそ

おくららはいまはまからむこなくらむそれそのははもわをまつらむそ

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